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北極に近いロシアのチュコト半島が舞台の、1984年に本当におこった話を元にした絵本です。科学系では世界一有名な雑誌ナショナル ジオグラフィックの出版社から出版されている作品だけあって、生命の不思議さに興味をかきたてられるような絵本です。人間と動物の理想的な共存関係が伝わってくると同時に、シロイルカが氷に捕らえられた時に見せる不思議な習性が興味深いです。
イルカを食す習慣のある民族が主人公ですが、シロイルカが大量に氷に閉じ込められ困っている時には、必死に助けようとします。その理由を、お父さんはピパルクにこう説明します。「イルカのおかげで人間は何百年も生きてこられたんだ。イルカには大きな恩があるから、こまっているイルカを殺すわけにはいかないんだよ・・・」。村人達は冬を過ごすために重要な食料さえイルカに分け与えながら、何日もかけて助けようとするのです。そして何十キロも離れた対岸から砕氷船が氷を砕いて、イルカのために海への道を作ろうとします。
小さいピパルクはなんとかイルカを勇気付けようと、歌をイルカに歌ってあげます。絵本ではその歌がイルカ救出の鍵となります。砕氷船が何日もかけてようやくイルカたちのところにたどり着いても、弱ったイルカたちはその場を動こうとしません。砕氷船が誘導しても無駄です。でも、数匹のイルカがピパルクの歌に引き寄せられるのを見た船長が、船から音楽を流してみたのです。そして、ついにクラシック音楽をかけたとき、イルカたちが誘導され出したのです。クラシック音楽の不思議な力を感じさせます。
絵本の最後に地図つきで、実際のイルカ救助のエピソードが書かれています。救助に出た砕氷船のモスクワ号の研究者達が、音楽でイルカを誘導できないかと色々なジャンルの音楽を試したそうです。ついにイルカを誘導することができたのは、クラシック音楽だったそうです。
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