ペンキや  < 日本の作家 >  
絵本のデータ
『ペンキや』 ペンキや
著者(文章): 梨木香歩 (Kaho Nashiki)
著者(絵): 出久根育 (Iku Dekune)
出版社: 理論社 (2003/1)
ISBN: 4652040229
 
ページ数: 47ページ 縦: 218mm 横: 170mm
対象年齢: 主に大人向け  文字数: ふつう
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おすすめ度: 
定価: ¥ 1,365
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  テーマ: 哲学的な絵本    主人公: 男の人
   感動度   知識学び度 中  笑い度 低  悲しさ度 中
   ユニーク度 低  しつけ度   わくわく度 低  いやし度 中
   絵の精密さ 中  絵の美しさ 中  絵のかわいさ 低  デザイン性 中
  ストーリー

しんやはペンキやの見習いです。ペンキ塗りという仕事は見た目よりずっと難しく、お客の注文の色が出ず、8回も塗りなおしたことがあります。しんやのお父さんもペンキやでした。お父さんはしんやが生まれる前にフランスに渡り、しんやには一度も会わずに向こうで亡くなっているのでした。お母さんは、「不世出のペンキやここに眠る」と書かれたお父さんのお墓がフランスにあると言います。しんやはお父さんのお墓を探しにフランスに行くことにしました。フランスへ行く船で、しんやは不思議な体験をします・・・。

  この絵本について

 ペンキ塗りの一生を描いた、人生について考えさせられる絵本です。ペンキ塗りはとても地味な仕事で、ただ均一に色を塗るだけの単純な仕事と思われがちです。でも本当は、お客が望む色を出すのも難しいし、むらが無く丁寧にしかも時間内にすばやく仕上げるには高い技術が必要なのです。
 主人公のしんやはまだ見習いの時に、フランスで亡くなったペンキ屋の父の墓を探しにフランスに渡ります。その途中、船の上で白いマントを羽織った不思議な女性が現れ、「喜びや悲しみ 浮き浮きした気持ちや 寂しい気持ち 怒りやあきらめ みんな入った ユトリロの白」という注文を受けます。ユトリロとは、身近にある建物などの風景を描き続けた近代フランスの有名な画家のことです。フランスから帰ったしんやはこれまでと違いました。旅先で見つけた父が使っていたハケを枕元において寝ると、お客の深層心理を表すかのような夢を見るようになったのです。お客自身が知っている以上にお客の気持ちを理解した色を作り出し、次々と注文に答えていきます。
 ペンキ塗りという地味な仕事でも、本当にすばらしい仕事をするためには、人の気持ちを深く理解することが大切であることを教えてくれます。遠く異国の地で亡くなった父の高いこころざしを、しんやは知らない間に受け継いでいました。長い年月が経ち、しんやは最後の仕事でユトリロの白を出すことができました。それは、親子2代でようやく到達した境地のようです。
 そしてこの作品では、夫の仕事を心から尊敬し理解した妻の存在が大変重要です。妄信するぐらい夫の才能を信じており、一番の理解者でありました。しんやの母もしんやの父の才能を信じていましたし、しんやの妻もしんやの才能を信じていました。それぞれの墓に刻まれた「不世出のペンキやここに眠る」という文章は、妻たちにしか見えません。
 シュールレアリズムのポール・デルヴォーを思わせるイラストもとても印象的です。描かれた人々のほとんどは口が閉じられており、ほとんど表情がありません。お客の深層心理を表すような夢を見るという不思議なストーリーにぴったりとマッチしたイラストです。この本は大人向けですが、さらに年を取れば取るほど味わいが増すような絵本です。

絵本 マッチング
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更新日: 2007年06月19日

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