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世界で65ヶ国語に翻訳され、3000万部以上が出版されている『アンネの日記』を書いたアンネ・フランクの伝記的絵本です。第二次世界大戦の中、多感な時期に多くの怒りや悲しみを体験した少女アンネの一生が描かれています。物語はとても明快で分かりやすく、あまり感情的ならないで、優しく愛情を込めた視点から語られています。
アンネが生まれた当時のドイツは、第一次世界大戦を起こしたことで世界から非難され、戦争被害への補償金の支払いのために貧しくなり失業者も増加していました。国家の自尊心を傷つけられ生活が苦しくなったドイツ人は、ヒトラーの影響を受けて、憤りの矛先を次第にユダヤ人へと向け始めました。このような、社会的背景やユダヤ人迫害の原因も絵本で分かりやすく説明されており、一貫性があって大人でも納得する内容になっています。
ナチスによるユダヤ人の迫害が、子供達の間にも広まっていき、学校でも仲間はずれにされたり悪口を言われるなどの差別を受けるようになっていきます。ユダヤ人への迫害がエスカレートしていき、悲惨さは増していきます。それでもこの絵本は、ある程度冷静に読み続けることができます。その理由は、常にアンネの世界に入り込まずに、別の優しい視点からアンネを見ているからだと思います。そして、イラストが物語を非常に力強く支えています。精密で描写的に描かれているにも関わらず、昔を懐かしむような美しさに満ちており、悲惨なアンネの人生の中にも、生きている限り美しい瞬間がいくつもあったのだということを感じさせます。それだけにアンネの命を奪ったナチスへの怒りを強く感じさせます。
絵本の最後に解説として書かれているように、アンネの日記の実物は、今でも最後の隠れ家となった場所に展示されています。1960年に博物館としてオープンしたその場所には、毎年100万の人が訪れいているそうです。
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