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ネパールのネワール族に伝わる民話を元に作られた絵本です。ラージャンは道で拾った銀貨を、猿を買うことに使いました。お父さんもお母さんもお金になるものや食料を買うように言うのですが、ラージャンはそれを聞かず、世界で一つしかないものを買おうと心に決めていました。お父さんとお母さんは一銭にもならない猿を買ったことを知って、銀貨を無駄使いしたと怒ります。でも、ラージャンの信念は正しく、猿を大切にかわいがり続けたことで、後にこの猿から大きな富を得るのです。
一時的な欲を満たしてくれる事を選択するより、信念を曲げずに決断し、それを育て続けることで、最後には大きな成果を得ることができることを教えてくれます。面白いのは、大人である両親のほうが一時的な欲に走り、現実的だけど視野のせまい判断をしてしまうところです。子供の頃の直感や信念の方が大きな可能性を秘めていることが分かります。
また、この絵本には宝を手に入れるためには手段を選ばない恐ろしい悪魔が登場します。ラージャンの猿が、その悪魔を言葉巧みに翻弄し、宝を奪っていく様子が痛快に描かれています。最後には悪魔を悔い改めさせることにも成功します。猿の知恵はなかなか計画的でかしこく、読み応えのあるストーリーになっています。またネパールのネワール族宗教画の第一人者イシュワリ・カルマチャリャによる、民族宗教画風のイラストも大変魅力的です。
最初はなんの役にも立たないと思われた動物が活躍する様子は、シャルル・ペローの『長靴をはいた猫(Puss in Boots)』を思い出させます。
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