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2001年に起こった911テロ事件(アメリカ同時多発テロ事件)で姿を消した、ニューヨークの世界貿易センタービル(ツインタワー)が舞台の絵本です。まだ貿易センタービルが完成間近で建設中の1974年に、ビルの間を綱渡りした若者のお話です。この絵本『綱渡りの男』が出版されたのは2003年なので、すでに貿易センタービルはありません。貿易センタービルを懐かしむように物語は始まり、綱渡りをした伝説の大道芸師フィリップ・プティの視点を通して、当時の新鮮な雰囲気が鮮やかに蘇ります。
ニューヨークに住む大道芸師のフィリップは、ニューヨークにそびえ建つ貿易センタービルよりも、その2つのタワーの「あいだ」に惹かれました。以前もパリのノートルダム寺院の2つのタワーの間を綱渡りしたことがありました。好奇心がいっぱいで、子どものように素直な情熱を持った若者でした。
途中で綱の重さに苦戦しながらも、友人たちと一晩かかってタワーの上に綱をかけることに成功します。命がけで綱を張る様子が、ビルを見下ろす斜め上のアングルから、ダイナミックに描かれています。まるでその場にいるかのような臨場感があり、足元がすくむような錯覚に陥ります。そしていざ綱をわたるときには、綱の上における自由で爽快な別世界を共有することができます。
綱渡りをしているシーンには、2つの折込みページが仕込まれており、横に開くとさらにダイナミックに綱渡りをしているシーンが楽しめます。この絵本は、2004年コールデコット賞を始め、色々な賞を受賞した評価の高い作品です。その評価の理由が納得できるほど、これほどまでに大人までわくわくとさせる、アドレナリンの出る絵本はありません。普通はできない痛快な体験を共有できる貴重な絵本です。
英語版→ 『The Man Who Walked Between the Towers』
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