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一人の少年が活躍するオランダの昔話に、風景画家のトマス・ロッカーが17世紀オランダ風の絵画を描いた作品です。オランダ絵画黄金期にあたる17世紀の画家、ロイスダール、レンブラント、フェルメールなどを思い出させる作品の数々を見ていると、この絵本が一冊の質の高い画集のように見えてきます。同時に、レニー・ホートによるオランダに伝わる物語の再話もすばらしく、文学としても楽しいショートストーリーの一編として楽しめます。絵と文章の両面からバランスよく仕上がっています。
画家のトマス・ロッカーは世界中で展覧会を開く人気の画家で、絵本にもたくさん絵を描いています。彼は子供たちが絵本を通じて美しい風景画に親しむことができるような作品が無いことに気づき、絵本のためにも絵画を創作するようになったそうです。たしかに全ページに渡ってここまで贅沢な風景画を楽しめる作品はありません。朝、昼、夕方、夜中の風景、室内の様子と、あらゆる時間帯や場所にわたって最高の技術で描かれた絵画を楽しめます。とくに夜に満月の光が海に輝く絵画は、これまでの絵本に描かれた絵画のなかでも最も美しい作品の一つではないでしょうか。また、室内の風景を描いた絵はフェルメールそっくりで、まるでオランダ絵画のオールスターが集結して一冊の絵本を描いたかのようです。
お話はやんちゃな男の子の勇敢で信念のある姿がさわやかで、起承転結がはっきりしたクラシカルなスタイルは、読者にとって大変読みやすく、楽しみやすいです。
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