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思わず拍手をしてしまいそうな、すばらしい絵本です。華やかな楽しさががんがんと伝わってきます。歌舞伎は、能、狂言、文楽とならんで世界に誇る日本の伝統演劇です。江戸時代(1603年〜1868年)に生まれて発展し、現代にまでその伝統は受け継がれています。明治時代以降は、大きな劇場で演じる立派なものになりましたが、江戸時代はもっと庶民の生活に密着した存在であったそうです。その江戸時代の歌舞伎の雰囲気を再現したかったのが、この絵本のテーマだそうです。
そのテーマはこの絵本でみごとに達成されており、観客の熱気や歌舞伎に関わる人々の熱意が伝わってきます。まずびっくりするのが、歌舞伎に関わる人々の作業姿の克明な表現で、1つの歌舞伎が大人数で作り上げられるエンターテイメント大作であることがわかります。宙で立ち回りをしたり、舞台が回ったり、観客の上に橋がかかったり、今でもびっくりするようないろんなしかけが、観客とすごく近い距離で臨場感を持って行われていたことがわかります。
また、裏方で働く人々の様子も興味深く、奈落(舞台の下)で働く人の様子などは必見です。また絵がすばらしく、気の遠くなるほどの大人数を一人も手を抜かずに描いています。上から下から色んな角度からダイナミックに、そしてとても精密で丁寧に描かれています。特に14ページ目の、舞台の真後ろ斜め下角度からの臨場感には感動させられます。また、26ページ目の宙乗りの立ち回りの絵は、上にのって宙吊りを操作している裏方の様子が、下の舞台のあざやかさとコントラストになっていて特別な効果を出しています。そして、30ページ目の帰路に着く人々の絵の、満月の夜は美しくて感動します。
このこれぞ職人技と言えるすばらしい絵を描いているのは、漫画家でもある一ノ瀬圭さんです。スタートから完成まで8年もかかったそうです。現存しない江戸の歌舞伎を再現するための努力の跡が、対談の文章を読んでいてもひしひしと伝わってきます。
歌舞伎については、色々な解説も絵本の後ろに豊富に書かれていますので、日本の伝統である歌舞伎を知るためにはとてもよい教材となります。
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